「じゃあ私、日野雄大の手料理が食べたい」
「俺の?俺は寧ろ日野ちゃんの手料理が食べたいけど」
「さっさとつくれ」
「……はーい」


日野雄大は素直に腰を上げて台所に向かった。


「俺まだ奴隷癖が抜けないみたいだな」
「それでいいの。一生奴隷なんでしょ?」
「……ああ、そういえばそういうこと言ったわ。俺」


日野雄大はその言葉を後悔してるのかいないのか、それは分からないけど、私はこの関係が好きだ。

台所で作業する日野雄大の姿がおかしくて。誕生日にはエプロンをプレゼントしようと決めた。


そしてその間に私はちゃっかり英語の宿題を。



「お待たせ。あ、何宿題してんだよ」


宿題が半分程進んだ頃、日野雄大が良い香りを漂わせた丼を持ってきた。
テキストをしまう。


「何つくったの?」
「カツ丼」
「これまたガッツリ来たね」
「いやあ俺成長期なもんで」


日野雄大特製のカツ丼を口に運ぶ。


……なんでこいつ本当に何でも出来ちゃうんだろう。思わず舌打ち。


「どう日野ちゃん」
「ムカつくけど美味しい」
「あはは、ムカつくんだ」


日野雄大は私の感想を聞いてから満足そうに笑って、自分のカツ丼を食べ始めた。

上出来、と美味しそうに食べている。