「日野雄大、このお金何?」
日野雄大は温かいお茶を淹れてくれている手をそのままに、私の指差すテーブルの上を見た。
「ああ、それで晩飯済ませろって意味」
「ふーん……」
メモ書きとかもなしなんだ。
私なら普通に傷付くけどな。
日野雄大はそれが普通なんだ。
なんだかもやもやしたままソファに腰掛けると、すぐに日野雄大が温かいお茶を持ってきて正面のテーブルに置いてくれた。
「日野ちゃん。何する?」
「何って、じゃあ宿題でもする?」
「つまんない」
「何がしたいの?」
「イチャイチャ」
私はそっと、さっき日野雄大が淹れてくれたお茶を飲んだ。
美味しい。あ、変なもん入れてないよね。
「……日野雄大はさ、料理とかすんの?」
日野雄大のイチャイチャしたいという提案はとりあえずはスルーした。
「まあ俺は基本何やらせても完璧にこなす男だから」
その長所もその性格ひとつで台無しなんだけどね。と思わず出かかったけど。
日野雄大はどうやらイチャイチャをスルーされたのが分かっていないらしい。やっぱり馬鹿だ。

