電車を下りて暫く歩いたところでたどり着いた豪邸。

うちと同じ〝日野〟が書かれてあるのに大違い。


プールはないけど、庭がある。しかも糞広い。私にとってはそれだけで充分豪邸。


「うわー!門から玄関までこんなに歩くとか!信じられなーい!」
「日野ちゃん。近所に聞こえたら恥ずかしいから、頼むからそんなにはしゃがないで」
「……あ、うん」


日野雄大の言葉に素直に頷いてからそのまま着いていくと、玄関に入り、ようやく家に上がる。

素敵なお家。


まずリビングに通された。


「ソファ座っといて。お茶でいいよな」
「うん」


台所に向かった日野雄大の言葉通りソファに座ろうとしたとき、横切ったテーブルの上に、一万円札が置かれてあるのに気付いた。