突然何の脈絡もなくさらりと言われて、思わず「うん」と即答してしまいそうだった。

びっくりした。

だけどなんだかもう否定する必要も特に感じない。


「気付いてたんだ。私が日野くんのこと嫌いだって」
「てか否定しないんだ。とりあえず一回はそんなことないよって言うもんじゃないかな」


ふわふわ笑いながら言う日野雄大に、また軽いいらつきを覚える。

……なんか。すごく、嫌い。こいつ。


「〝そんなことないよ〟」
「あはは、棒読み。なんでそんな嫌われてんだろ俺。傷付くなー」


嘘つけこら。
全くもって傷付いてないだろうが。

弱まっていく雨とは反比例に、私のイライラはとうとう最高潮にたどり着く。


「……そういうところかな」
「え?」
「私が、日野くんのこと嫌いだって理由」


すいませんね。
私、嘘がつけない性格なもので。

一ヶ月我慢しただけ偉い方でしょ。


「日野くんってさ、」
「うん?」

「性格、糞悪いよね」