「おっ、可愛らしい女の子や!こんちは!佐野あおい十六歳蟹座のB型!よろしく!」
「よろしく……田嶋です」


ひかりは誰がどう見ても乗り気じゃない。


「雄大と別れてんやろ?寂しかったら俺の胸に飛び込んできてええねんで?」


そう言って両手を広げるあおいくんをスルーして、ひかりは日野雄大を睨み付けた。


「日野くん」
「なに田嶋さん」
「……何この男」
「どう?良くない?」
「チェンジ!」


ええ!とあからさまに落ち込むあおいくん。

日野雄大はこの展開を分かっていたのだろう、けらけら笑っている。相変わらず性格が悪い。


「何なんこの女!めっちゃ失礼!こっちから願い下げやわ!」
「はあ!?何よ童貞がエラそうに!」
「童貞も需要あるんですー!」
「断言してあげる!あんたはこの先も童貞を捨てられない!」
「なっ……!ちょっと可愛いからって調子のんなよ!」


二人は初対面とは思えない程のハイテンポで怒鳴り合う。

日野雄大はまた更にお腹を抱えて笑っている。


「ちょっと日野雄大。止めなくていいの?」
「大丈夫大丈夫!やっぱ思った通りだったわ!」
「え?」
「二人。結構お似合いじゃねえかなって!」


言われてみて再度二人の言い合いを眺めてみる。

……まあ言われてみれば、お似合いに見えないこともない。