日野雄大との話し合いを終えた後にすぐ、教室に居たひかりに呼ばれて、使われていない空き教室にやって来た。

ほこりっぽくてしんとしている。
時計も取り付けられているのに動いていないらしい。


「簡潔に言うね」


私の前で背中を向けていたひかりが振り向いた。いつものあの笑顔は一切ない。

私の心臓はドクンドクンと音を立てる。



「雪那が日野くんに、頼んだんだよね。……私の告白受け入れろって」
「なん、で」
「言っとくけど日野くんが言ったんじゃないからね」


ひかりの視線は鋭く私を捕らえる。

日野雄大が言ったわけじゃないとすれば、ひかり自身が気付いたというわけだ。


「……なんとなく、分かる。隠してたつもりだろうけど、二人が妙に関わり合ってたのは知ってた」
「そっか……」
「なんで、そんなことするの?」


ひかりの目は私を睨み付けていたけど、なんだか泣きそうだ。


……分かってた。
分かってて、日野雄大に命令した。

ひかりがもしこの事実を知れば、怒るって。悲しむって。


それでも私は行動にした。

その理由は、どれ一つをとっても、到底ひかりの納得のいくようなものではないんだろう。


「……ごめん」


私にはその言葉しか出てこなかった。

かといってその言葉だって、ひかりを納得させるようなものではなかった。