日野雄大はクラスで一番性格が悪い



「雨嫌だね」
「そうだね」


とはいえ雨は先程よりはいくらかましになってきていた。通り雨?


「日野ちゃん、田嶋さんとは帰らないの?」
「ひかりはバスケ部だから、ほとんど一緒に帰れないんだよね」


部活少女のひかりと安定の帰宅部の私が一緒に帰れたことは、今までたったの二、三度。


暫くそんな他愛もない会話をしていた。

日野雄大は沈黙を避けようとしている気がする。ナチュラルすぎてはっきりしないけど。


「帰宅部って肩身狭いよね」
「ああ、日野くんも帰宅部だもんね」
「うん」
「なんで何も入らないの?」
「なんか入りそびれた」


あー、早く駅に着かないかな。

……私はいくら嫌いだとはいえ、助けてもらってる日野雄大には随分失礼なことを考えながら、適当に会話する。

日野雄大はやっぱりナチュラルに沈黙を避けて、質問を投げ掛けてくる。


「日野ちゃんはどうして帰宅部なの?」
「なんか特に入りたいのなくて。中学もそうだったし」
「そうなんだ」
「うん」

「日野ちゃんさ、俺のこと嫌いだよね」