「もしもし?」

「…お前もしかして、寝てた?」

「え…何でわかるの。」





私が不思議に思って要にそう尋ねると

声が掠れてるから、と
当たり前のように返されて

私はそこで納得した。







「それで、どうしたの??」

「あー……お前さ、」

「ん?」

「明日夜空いてねぇ?」







私は要の言葉に
目をパチパチさせながらも

内心少しドキッとした。






…空いてるは空いてるけど…







「空いてるよ?
…でも、どうして??」

「急にバイトが空いてよ。
真治さんがお前連れて花火大会行けばって。」






真治(シンジ)…って、お兄ちゃんか。



私は要の言葉に
なるほど、と納得した。






(お兄ちゃんに花火大会のこと
言ってあったもんね…。)






だから代わりに
要のこと誘ってくれたんだ?



私はお兄ちゃんの配慮に
優しさを感じながらも

要に小さく返事をした。







「…ううん、行かない。」

「…は?何でだよ。
お前楽しみにしてたんじゃねぇの、花火大会。」






予想もしていない返しだったのか

要は驚いたような声を出して
私にそう尋ねる。





……うん、行きたかったよ。でも…








「春樹くんに会ったら…誤解されちゃいそうだもん。」








あっちは家族で行くのに

私は要と2人なんて…




私も浮気してるみたいだもん。