久しぶりに浴びた日光のせいで、目の奥が痛い。
だが風が気持ちいい。

春だなぁ、とヒシヒシと感じる。
彼女がまだ俺の隣りに居れば、きっと花見に行っただろう。

「……あー…未練たらしいのは良くないよな…
いい加減、前を向いて生きていかなきゃな…」

そんな事を言いながら進んでいると、気付けばそこは夢で見た場所だった。

─キィィッ…

自転車を止めて辺りを見回す。

「居ない‥か」

嘲笑しながら呟く。
居るはずないのに期待して‥自分が馬鹿みたいだ。
たかが夢なのに。

「…あそこに居るかもしれない」

たかが夢。でも諦められない。
諦めが悪いのが俺、だから。

俺は自転車をとばした。
ここら辺で桜が綺麗に咲く場所に急いで向かった。
人がたくさん居るはずだ。
その中に彼女が居るかもしれない。
"彼女に会いたい"その気持ちだけで俺は動いていた。