「はぁぁぁぁ!今日も菊原くんにあえる!うれしいなぁ〜!」

わたし、花咲綺希は幼なじみである和人の前で大げさにため息をついた。

「…お前はそれを俺に言ってどうしたいんだ?」

和人はもううんざりだというような顔で私を眺める。

「いいじゃーん!本人目の前にしてこんなこと言えないわけだしっ!」

重いかばんを肩にかけ直しながら、そう反撃すると、
和人が何も言わずにかばんに手をかける。

「…綺希、重いんだろ貸せ」

「あっ、ありがと!」

毎朝の恒例行事だ。
いつも和人が私の家まで迎えに来てくれる…といってもお向かいさんなのだが。