一通りのことを終えると、彼の母親が私のもとへやって来る。


「あんたさえ、いなければっ…」


いつものように、彼の母は私にひどい言葉を浴びせる。


「あんたのせいで奏多は死んだの!! 返して! 返しなさいよっ…!」


周囲の方々が決まって母の彼を押さえる。


落ち着いてください、深呼吸をして、なんて優しい言葉をかけながら。


そしていい大人が寄ってたかって醜いものを見るかのような軽蔑の眼差しを私に突き刺してくる。


「よくここに来れるな」


「信じられない」


大人が皆、化物に見える。


鋭い目つきをした悪魔だ。


「すみませんでした」


そんな彼らに私はただ、謝ることしかできない。


いくら謝罪をしたところで、彼の母の心が満たされるわけでもなく、あなたの息子が帰ってくるわけでもない。


「だいたい、毎年毎年息子の誕生日にハガキなんて送ってくるんじゃないわよ、汚らわしい」


涙混じりの、荒い息遣いをした彼の母を見て胸をひどく痛めた。


私だって、帰ってきて欲しい。


もう一度でいいから、会いたい。


謝りたい。