「…あれから、もう5年も経ったんだ」


「...うん」


黒い喪服に包まれた、私と高校時代の同級生の鈴香。


私たちは5年前の今日も、ここにいた。


4年前も3年前も2年前も、ずっとここに。


お経と木魚を叩く音が部屋中に響き渡る。


相変わらず聞きたくない音であり、まだ現実として受け入れきれていない。


5年前、当時私が付き合っていた彼が亡くなった。


原因は交通事故。


大型のトラックが彼を轢いた。


その日のことはもう、思い出したくない 。