「和叶、なに食べる?」
「くじ引きしない?」
「射的のあのぬいぐるみ可愛いよね。」

雅陽君が気を遣ってそうやって声を掛けてくれるけど、私の答えは
「うん」
「いいよ」
「そうだね」

そんなそっけないものばかり。
雅陽君には申し訳ないとは思うけど、なぜだか明るい返事ができなくて、泣きそうになる。

そんな私の心のうちを察したのか、
「裏山の方に登ろうか。」

そう言って、私の手を引いて歩き出した。