割と新しそうな白い壁の建物の前には、果月寮と書かれた看板が立っている。

学校から配布されていた寮案内の紙を見てその建物に足を踏み入れた。

建物は2階建てで、1階が食堂やお風呂、2階が生徒たちの部屋になっているようだった。

(今日からここに住むのか)

寮案内の紙には、寮へ到着したら寮長から説明を受けるよう書いてあるからとりあえず寮長を探すことにした。

といっても、初めてくる場所だし、寮長がどんなひとかもわからない。

「寮長って……」

『寮長は私だが?』

「っわ」

独り言に返事が返ってきたことに驚いた。

声の主は30代くらいで、眼鏡をかけた女の人だった。

「こんにちは。今日から入寮する渡利柚子です」

『寮長の坂口だ。お前1人か?』

「え、1人ですけど」

『もう1人いるんだけどな』

もう1人いるんだー!どんな子だろう。仲良くなれるといいな。