コツコツ

無駄に大きく響く足音。
フードコートの中に入ると、たくさんの椅子や机に目がいった。
そして、1部の椅子が無残に転がっているのを見つけた。
小走りでそこに向かうと、遠くから自分とは違う足音が聞こえた。
素早くその方へと顔を向けると、男性らしき人影が見えた。だけど、それは壁によって、見えなくなってしまった。

「あ、まッ...」

走り出そうと大きく足を前に出した時、転がっている椅子に躓いて転んでしまった。

痛い。

床に思い切りぶつけてしまった膝を、擦りながら人影が進んでいった道を見つめた。
そして、今度は躓かないように慎重に走り、人影を追いかけた。