その時だった、マコはとある服屋の前で立ち止まってしまった。

手を繋いでいたブレイクは、マコにつられるように立ち止まり、店をじっと見つめる彼女に「どうした?」と聞く。

しかし返事はない。

もう一度、さっきより少し大きめの声で「マコ」と呼ぶと、肩をビクリとさせて振り返りブレイクを見た。


「ご、ごめんね。いきなり止まっちゃって」


少し切なげな表情をしながら謝るマコ。

先程と様子が違うことに気がついたブレイクは、マコの頭を撫でながら「何かあったのか?」と聞いた。

視線を下にずらすマコ。

その行動からして、何かがあったのだとバレバレだ。

そして、ボソリと「ただ」と呟いた。


「お姉ちゃんのことを、思い出してた...それだけだよ」


「...お姉ちゃん?」


頭を傾げながら言い、それから「マコのか?」と問う。

静かに頷くマコ。


「でも、去年の冬にね病気で、いなくなっちゃったの」