ザワザワ

たくさんの人とすれ違い、どこか安心していた心も、声が徐々に無くなってきて不安でいっぱいになってきていた。

そして遂に、誰の声もしなくなってしまった。
ハッと我に返り、ずっと前に進んでいた足も止めて、周囲を見渡した。

「誰もいない...」

嘘。
さっきまでたくさん人がいたはずなのに。

人だけじゃない、両脇にあったはずのお店もなくなっていた。

戻らなきゃ。
なんかここ、嫌な感じがする。

後ろに振り返り、戻ろうとした。


ヒューン


「!?」


すると、背中に冷たい風を感じた。
顔を少しだけ後ろに向けると、そこには"The mysterious world"という暗い雰囲気のお店があった。

今、ここから風が吹いてきた...よね。

不気味に思いながらも、お店へと近づいていった。