人がこっそり、ひっそりと温めてきた恋心をついぽろっと溢したのがつい1か月前。
人が2年間も片思いをしているというのに、当の本人に「お前もそろそろ好きな人くらい作れよ」と言われてしまったのだ。
いやいや、そろそろって!こちとら2年も片思いしてるっつーの!
そもそも私がたとえ同僚とはいえ、こんなに積極的に男を飲みに誘うのなんて倉田しかいないのに。なんで気付かないんだよ!
そんな思いが、もう、いっぱいになってしまったのだろう。
つい、出てしまったのだ。
「私はね、2年間、ずーっと、倉田のことが好きだったよ、いい加減気付けよばか!」
……それからというもの。この男は何かにつけて今のこのセリフ、「それが好きな男に対する態度か」攻撃を仕掛けてくるのだ。
ただ私だってこれだけは言える。
「好きな人が告られる話とか、聞きたくないじゃんか……本人からとか。ほら恋する乙女はさ」
「誰が乙女だって?」
「しかも相手はあの野田さんでしょ?超絶可愛いあの野田さん。勝ち目ない」
「まぁお前のボロ負けだな」
「そもそも野田さんって倉田が好きだったんだ……意外。どこがいいのよこの男の」
「なんだって?」
「趣味悪」
「お前が言うか」

