どれくらい怒っているかって?


例えるならあれだ。楽しみに冷蔵庫に取っておいたプリンがいつのまにか食べられてしまったような。

はたまた、最後まで取っておいたショートケーキの苺を食べられてしまったような。

……食べ物の話ばっかりだって?
しょうがない、食べ物の恨みは深いように、それくらい、今私は怒っているのだ。



「最っ低」

「最低って」

「最低だよ、普通する?その話題、私に向かって」

「いや今までもしてただろ」

「今と前では関係性が違うんですー」

「それはお前が口滑らせたからだろ」

「本当にムカつく。もう倉田なんてハゲちゃえばいいよ」

「お前な、それが好きな男に対する態度か」


それだよばかやろう!

全くこの男は。この倉田恭輔という男は。

女の子なら誰もが羨ましがる平行二重の瞳に、筋の通った鼻。綺麗な歯並びに、綺麗なラインの顎。 


あぁ、もう。



「そうだよ!これが好きな男に対する態度だよ!好きだばーか!」

「うるせーな小学生かよ」

「へーん、そんな目で見られたも私にはめちゃくちゃ格好良く見えちゃうから無意味だよ。ばーか!」

「もうほんと何なのお前」

「おじちゃんビールおかわりー!」