私は担任にレポートを提出して、事務室に向かおうとした。

私は折り畳み傘を持っているから、借りる必要はない。


待ってるかもしれないと思って、私は事務室に足早と向かった。

でも待っていたわけではないみたいだった。



事務室には衣緒と紫藤の二人がいた。
私は反射的に角に隠れた。

私は耳を傾けて盗み聞きしようとする。

「傘、一本しかないね。紫藤くん使っていいよ」

「いや、俺走ってくからいいよ」

「よくないよ!うーん、じゃあどうしよっか」


「浅川って、彼氏とかいるの?」

え、何この展開。
いきなり恋愛話?

「いや、いないよ」



「じゃあ、傘一緒に使わない?」

相合傘。

でも衣緒は私と帰る約束をしていたから、紫藤とは帰らないよね。


「え、いいの?恥ずかしくない?」


「俺は全然」