沙織side


朝野夏樹というDr.が赴任してきた。
イケメン、高身長。
おまけにアメリカで学んでいたらしく
頭脳明晰。

これはアピールするしかない。
私の手にかかって落ちない男はいない。


それに周りは知らないけれど、私は院長の娘。
苗字は母親の旧姓を使っている。



ある日、遅刻しそうになって
慌てて着替えていると
近くの休憩室で
キスしている2人を見た。


「何あれ…」


どれだけアピールしても
相手にしてもらえないのに
何であの子なの!?


確か救急救命科の藍原真白。

専門学校が一緒だった。
私は医療事務科、あの子が看護科。

科が違うのにあの子の噂はよく聞こえて来た。


「勉強熱心で容姿端麗。」

「女子、男子問わず人気者。」


実際私の好きな人はみんなあの子が
好きだった。

私が先に卒業してここにコネで就職した。
するとあの子が就職してきた。


やっと離れられると思ったのに…
挙句朝野先生まで…



別れたらいいと思って、最初は
ちょっとした嫌がらせをした。

それからしばらく様子を見てたが
気付いてしまった。

2人がお互いを盗み見て
愛しい眼差しを向けている事に。