中に入ると、外観どおりの
可愛い空間が広がっていた。

おもわず笑顔になる真白。


「気に入ってくれた?
料理は何にする?」

「あ、じゃあこの
うさぎ型のオムライスで…」


少し恥ずかしいが
可愛いものには目がないのだ。


「分かった。藍原らしいね。
オーダーするよ。
…そのワンピース、藍原に良く似合ってる。」


朝野先生の微笑みに
さらに恥ずかしくなる真白だった。


「さて、何で俺が挨拶の名前
知ってるか、だったよね。
何でだと思う?

…ヒントはね、
満月の夜のおまじない。」


真白はふと昔の事を思い出す。
隣に住んでいた男の子。
いくらか年は上の幼なじみ。

…真白の初恋の男の子。

その時、満月の夜のおまじないを教えてもらったのだ。


「真白、大きくなったらね、
◯◯くんのおよめさんになる!」

「僕も、大きくなったら
真白ちゃんの本物の王子様になる!
どこにいても
絶対に真白ちゃんを迎えに行くんだ!」


満月の夜に交わした
最後のおまじないだった。

次の日起きると、隣の男の子は
引っ越していて居なくなっていた。

真白はそのおまじないを
今でも信じている。

彼氏が出来ても長続きしなかった。
いつか男の子が現れると信じて。

ただ、男の子の名前が思い出せない。
それ程ショックだったのだから…。