「まあまあ、そう焦りなさんな。
奴さんも熟考の上の行動なのであろう」


「何を考えたら、こういう事になるんだよ!
紗希は、こちら側との縁をとっくに切ってる筈なのに!」


「それならば、何故お主は紗希に会いたいと言ったのじゃ?」


大呼した少年に、彼はじっと視線を向ける。


「え、いや……それは」

わかりやすく狼狽して、彼から視線を逸らす。

「お主にとって、紗希とは……何者なのじゃ?」

畳み掛けるように少年に向けられた言葉に、回答はなかった。