「……ふうん」


表情に、若干の落胆の色が浮かんだ。

期待していた場所と違ったらしい。


「何が特別なの?」

それでも多少の興味を抱いたらしく、少女が見上げると、母親は稚気満々に笑みを浮かべた。


生ぬるい風が吹いて、少年の肌がぞわりと泡立つ。

何となく、嫌な予感がした。


「紗希、よく聞いて。
この鳥居の先に、紗希のお父さんがいるの」


「……え?」