「慶一郎様は、境門の存在する重要な土地を守り続けた偉大な天狗であり、現総代白天狗の実の息子。 だから次の総代は、慶一郎様と昔から決まっていたんだ」 「へえ。 ……お父さんって、そんなに凄い人だったんだ」 紗希は小さく呟く。 考えてみれば、紗希は慶一郎が天狗だと知っていただけで、他には何も知らない。 天狗が何をする役割なのかという事も、常世という世界についても、殆ど無知に等しい。