健康的に日に焼けた小柄な少女が、鉄砲玉の様に二人の前を走り抜け、鳥居の目の前でぴたりと足を止めた。

走って真っ赤に上気した頬に、汗がゆっくりと流れた。

「……さかい…もん……?」

少女は鳥居を見上げて、荒い息の合間、うわ言の様に言った。

どうやら額束を読んでいるらしかった。


黒い額束には『境門』という金文字が彫られている。

少女は首をかしげた。

茶色がかった短い癖毛が、柔らかに揺れる。