天狗の娘



「……本当は俺だけが力を教わり、氏神を継ぐ予定だったんだ。

だけど、慶一郎様は間違って俺だけではなく、紗希。お前にも、天狗の力を与えてしまった」


隼は歩みを止めた。


「そのせいで、お前と慶一郎様は処刑される」


「えっ、ちょっと待ってよ!」


紗希は隼の真正面に回り込んだ。

「私、天狗の力なんて知らないよ!」

無実の罪だ。紗希は憤慨した。


「……それでも、白天狗様は掟を破ったと判断した。これが全てだ」


隼は昔と同じ、無感情な目をしていた。