天狗の娘



十分ほどは飛行しただろうか。

彼女が地面に足をつけたのを確認して、隼は手を放した。

紗希が周囲を見渡すと、どうやら山奥のようだった。

木が覆いかぶさるように茂り、未だ晴れない霧が流れている。