天狗の娘



(もしかして、ここに居れるのが嬉しいのかな)


それを見た紗希は考え、喜悦した。

たまらなく気持ちを伝えたくなって、彼の後姿に向かって思い切って声をかけた。


「……よろしくね、はやとくん!」


手を振ると、振り返った彼は戸惑いの表情を浮かべた。

しかし、それから少し照れたように笑い、ぎこちなく手を振り返したのだった。


何だか嬉しかった事を覚えている。