紗希は恨みがましい表情で、空を見上げる。

今さっき母の病室で聞いたラジオによると、ここ数日間のうちに、流星群が見られるらしい。

何百年かに一度という、巨大な物なのだそうだ。


しかし、この霧ではあまり綺麗には見られないだろう。

時間とともに濃くなってきている。

星が好きな母が、子供のように顔を明るくしていたのを思い出して、紗希はそっとため息をついた。


「こんなド田舎、星が綺麗に見えるのだけが取り柄なのに」


文句を言ってみた所で霧が晴れるわけでもなく、一人口を尖らせた。