晴太さん、どうしちゃったんだろう?
事故とかあったりしてないよね?


里子はまた外に出てマンションの周りや隣のパーキングを見て回った。
事故があったような気配もないし、里子のマンションの前の道路は人一人歩いていない。
それでも気が治まらない里子は駅に向かって歩き出した。

この時間になると駅までの道は真っ暗な場所が多かった。
駅自体大きな駅ではないし、駅前といってもコンビニが一軒あるだけだ。

里子は改札の前まで来て晴太が本当にいなくなったことを痛感した。
単純で恋愛下手な里子には大人の駆け引きなど全く分からない。

どうして帰ったんだろう・・・

里子がもう一度改札に目をやるとポケットの中で携帯の着信を伝える音が鳴った。
里子ははやる気持ちを押さえながら着信番号を見てみると知らない携帯の番号だった。

晴太さんだ・・・


「もしもし、里子です」



「里子ちゃん、久しぶり~~」


電話の相手は涼だった。
里子は涙がこみ上げる。


晴太さん、どこに行っちゃったの・・・・


「里子ちゃん?
どうしたの? 泣いてる??」


里子の耳に涼の声は届かなかった。


晴太さん・・・

晴太さん・・・・