「涼~~、ののちゃん、泣かしたら許さないよ」


奥で夏子の声がする。
涼は里子の隣に座り里子の手を握った。


「何があった?」


里子はケガをしてまで里子の元へ来てくれた晴太の姿を思い出していた。
今、どうしてるのだろう?
あんなケガを負ってとこかで倒れたりしていない?

里子は立ち上がり上着をはおりバッグを持った。


「里子ちゃん、どうしたの?
どこ行くんだよ?」



「ちょっと、品川まで行ってきます。

晴太さんが・・・
晴太さんを捜さないと・・・」


涼は里子の手を掴みもう一度隣に座らせた。


「分かった。
俺も一緒に行くから。

でも、その前に理由を聞かせて。
何があった?

晴太と里子ちゃんに何かあったの?」


里子は手で顔を覆って泣き始めた。


「晴太さんが・・・
すごいケガをしてるんです。
でも、私の家に来てくれて・・・」


涼は里子の顔をずっと見ていた。
きっと一睡もしてないだろ?・・・


「それで?」



「もう、会うのはよそうって・・・」


涼は里子の手を握りしめながら考えた。

晴太は里子の元から去った。
それでいいじゃないか・・・
それを俺は望んでいたんだろ?