「やめいやめい」

男爵が棍棒で肩を叩きながら、本城を嘲笑った。

「見りゃあ分かるじゃろう。その女はもう機能停止しとる。問い掛けた所で同じじゃ」

「……」

――生命維持活動、停止。

「無駄じゃというのがわからんか?一目見りゃあ分かるじゃろう」

「……」

――生命維持活動、停止。

「辛気臭い真似は止さんか。虫唾が走るわ」

「……」

どれだけ男爵に罵倒されても、本城は繰り返し問い掛け続ける。

MHに変身したままの彼の顔に、表情は浮かばない。

昆虫のような触角、複眼、口腔部。

無機質な顔。

しかし。

「本城君…」

向日葵には分かった。

無機質なその横顔に浮かぶ、胸を掻き毟るような慟哭が。