建物内にも、監視カメラや熱感知センサーの類が存在した。

成程、警備員要らずなのはこの為か。

流石、柊市を牛耳る帝重工。

最先端のセキュリティ。

しかしそのセキュリティも、侵入者が『人間であればこそ』だ。

真琴は体内に組み込まれた、光学迷彩機能を作動させる。

いわばステルス。

カエルやカメレオン、昆虫などでも、周囲の風景に体色を似せて溶け込む『擬態』を使う。

MHはそれを更に発展させ、体温なども調節して外気温度と同化し、姿形は勿論、温度さえも風景と一体となる。

熱感知センサーさえも欺いて、真琴は建物の内部へと進んでいく。