足音を立てず、真琴は敷地内を移動する。

暗闇の中だが、真琴の複眼は鮮明に周囲を見渡せる。

敷地内の建物を、透視機能を使って確認。

何人かの人影が見える。

こんな深夜まで、残業して業務中か。

ご苦労な事だ。

全くの無人ではないらしい。

さて、問題は残業内容だ。

人知れず深夜に行う業務とは何なのか。

疑いすぎかもしれないが、こう考えてはどうか。

『周囲の人間に知られてはいけない設備の調整』と。

真琴は迅速且つ確実に、建物の中へと潜入していく。