「!?」

突然、糸とも紐ともつかないものが、向日葵の体を絡め取ったかと思うと。

「きゃあっ!」

まるでバンジージャンプで飛び降りた直後の人間のように、高いビルの上まで引き上げられてしまう。

向日葵を引き上げたのは、決してバンジージャンプのゴムではなく。

「世話を焼かせてくれるな、ミスクリエーションども」

ビルの壁面に四つん這いでへばりつく、異形の男だった。

その姿は極めて醜悪。

8つの複眼を持つ、蜘蛛を彷彿とさせる顔。

その口から、糸を吐いて向日葵を捕縛していた。

「機関の改造人間か!」

見上げながら十文字が叫ぶ。

この蜘蛛男こそが、脱走した十文字の監視役。

十文字の行動を逐一見張り、機関へと報告していたのだ。