地味な私が恋したヒト



桜井くんはよくわからないことを言って、私から顔を背けた。


反則ってなにがだろう?


私、何か変なこと言ったかな……。


そんなことを喋ってる間にチケットを購入する番が来たみたいで、桜井くんが私のぶんのチケットも買ってくれた。

 
「桜井くん、チケットのお金……」


何円?って聞こうとしたけど、教えてくれなかった。


「んなのお前は気にすんな。ほらよ」


桜井くんはそう言うと、私にチケットを1枚差し出した。


い、いいのかな?


でもあんまりしつこく言っても余計嫌われるだけかなって思って、素直にお礼を言ってチケットを受け取った。