「あっ、あの……じゃあ何でこの前……」
その後の言葉が出てこない。
聞きたいのに、その言葉の答えを聞くのが怖くて、言葉が出てこないんだ……。
「この前、なんだよ?」
それっきり黙り切る私を不思議そうに見る桜井くん。
「……ううん、何でもない。それより行こうよ!」
私は結局言えなかった。
気になるけど……今はまだ知らない方がいいのかも。
だからね、今桜井くんと一緒にいれることを楽しみたい。
そう思ったから。
「そうか?何かあったらいつでも言えよ」
桜井くんはいつでも優しい。
ほんとに私なんかが彼女でいいのかなって思う。
桜井くんの優しさを私みたいな地味な女が独り占めしちゃってんだもん。
「うん、ありがとう」
私が桜井くんを見上げてニコッと笑うと、桜井くんは私の手を取って歩き出した。

