地味な私が恋したヒト



「雄斗はさ、罰ゲームで告白したことある?」


お互い口を開かずに、ただ黙って座っていた。


その沈黙を破ったのは私だった。


「罰ゲーム?」


雄斗は私の質問に意味わからないとでも言うように聞き返した。


「そう、罰ゲーム。男って騙すのが好きなの?やっぱ」


男子は怖いし、やたらとうるさいし、弱いものイジメするし、平気で人のことを傷つけるし苦手だった。


中学の頃の私はそんなことから常に男子に対してビクビクしていた。


そんな態度が気に入らなかったんだと思う。


ある日目立つグループの男子に目をつけられて。


陰で変なあだ名で呼ばれたり、私にしか聞こえないような声で悪口を言ったり……。


だから、私は男子のことが余計に苦手になった。


でも、あの日、桜井くんに告白されてなぜか信じてみようって思えたんだよね。


一緒に過ごすうちに好きになって。


桜井くんも私と同じ気持ちでいてくれたらいいなって本気で思ってた。


でも……違った。


桜井くんは誰でもいいんだ。


きっと誰にでも甘い言葉を言うし、同じように抱きしめる。