そう言うと桜井くんは今度こそ、歩き出して行ってしまった。
うざい、か。
桜井くんが私のことそんな風に思ってるなんて……。
嫌われてるとはわかってたけどそこまで嫌いだったなんて。
「ううっ……」
思わず涙が出てきてしまって、急いで止めようとしたけど、止まんなくて……。
私……こんなにも桜井くんのことを好きになってるなんて、知らなかった。
私、桜井くんのことがわからないよ。
告白されて、優しくされて、甘い言葉をかけられて、その気になった瞬間に振られるなんて。
私ってどんだけ馬鹿なんだろう。
振られたってわけではないけどあんなこと言われたんだから振られたも同然だよね。
それから、なんとか涙を止めて私は教室に戻った。
舞香には泣いたことがバレてないみたいで助かった。

