地味な私が恋したヒト



「うっせーな。いいから黙って受け取れよ」


有無も言わせないような声に私は頷くしかなかった。


そして、桜井くんの手からリンゴジュースを取る。


「あの、ありがとう……」


ニコッと可愛く笑うことはできないけど、精一杯の笑顔で言った。


「別に。じゃあ俺行くから」


そっけないけど、そんなの気にならないくらい私は嬉しくて……。


あっ、今って謝るのに絶好のチャンスなんじゃ……!?


そう思って歩き出した桜井くんの背中に話しかける。


「桜井くん、昨日はごめんなさい……」


小さい声だったけど、周りは静かだったし聞こえたと思う。


言う前までは悩んでたのに、いざ言うってなるとスラッと言葉が出てきたし、なんかスッキリしたかも。