地味な私が恋したヒト



「わ、私、熱があるのかも」


顔が赤い理由は、そう言って適当にごまかしたつもりだった。


でも、桜井くんはそんな言葉に騙されなくて、むしろ信じちゃったみたいで……。


「熱?大丈夫かよ」


って、すごく心配そうに聞いてきたから何だか申し訳なくなった。


「だ、大丈夫だよ」


大丈夫もなにも、熱なんてないんだから。


「でもほんとに赤いし」


そう言ったかと思うと、桜井くんは私の額へと手を伸ばしてきた。


桜井くんは私の額に手を当て、熱いかどうか確認しようとしたんだと思う。