地味な私が恋したヒト



「え、私の……?」


ゆらの、っていう名前は昔っから“変わってるね”としか言われなくて、決して“可愛いね”なんて、言われたことはなかった。


それに、そんな風に言われるから自分の名前はあまり好きじゃなかったんだけど。


今日、桜井くんに褒められたから、自分の名前がちょっとは好きになった。


「ゆらの、って名前、何かフワフワしててかわいい」


……ドキッ。


そんな音が、胸から聞こえてきたんじゃないかって思うくらい、今の私はドキドキしてる。


「まあ、フワフワしててかわいいのは名前だけじゃねーけどな?」


そう言って、桜井くんは私を見つめた。


まっすぐなその瞳に目を逸らせない。


ただ、昼休みに話してるだけなのにこんなにドキドキさせるんだから、桜井くんは天才だよ。