ちらっと桜井くんの方を見ると目が合った。
「あ、あの……」
隣の舞香たちに気づかれないように小声で桜井くんに話し掛ける。
「なに?」
なのに、桜井くんはなんてことのないように答える。
何でそんな平然としていられるのか……。
「ううん、何でもない」
ちょっとドキドキするけど、何だか嬉しい気がして、このままでいたいって思った。
ーー……
それから私たちは映画が終わるまでずっと手を繋いでいた。
「ゆら、面白かったね〜」
舞香に話しかけられてハッとする。
今、私たち手を繋いでるんだった……!
舞香に見られるのがはずかしくて、パッと繋いでいた手を離した。
「そ、そうだね!」
正直、ドキドキしすぎて映画の内容があんまり頭に入って来なかったんだけどね。
そんなこと言えるわけもなく、同意する。
そのとき桜井くんの方を見たら、少し怒っているように見えたけど……きっと気のせいだよね。
それから4人で近くのファミレスで昼ごはんを食べた。
食べ終わったあと、舞香と桜井くんはお手洗いに行ったから今は佐々木くんと私の2人だ。
「早坂さん、今日はありがとな」

