「んじゃ、メリーゴーランドの方行くか」
桜井くんはそう言うと私の手を掴んで歩き出した。
桜井くんはメリーゴーランドでもいいのかな?
つまんなくないかな……。
どうしても、そういうことばかりが頭をよぎる。
「あ、あのっ……。桜井くんはメリーゴーランドとかつまんなくない?」
ちょっと遠慮がちに聞くと、桜井くんはこの質問に嫌そうな顔ひとつもしないで、
「つまんねーとか、そんなのありえねーから。俺は……その、お前が楽しそうにしてればそれでいいんだよ」
って言ってくれた。
心なしか、そう言った桜井くんの顔は少し赤い気がした。
照れてる、のかな?
私のためにそんな照れるようなこと言ってくれる桜井くんがやっぱり好き。
こんなに好きにさせるなんて、桜井くんはほんとにずるい。

