きらびやかな店内。
ふりふりのスカートをひらめかせ、彼女たちは今日も笑顔をふりまく。




「お帰りなさいませ、ご主人さまっ」




そんな明るい店の奥には、誰も近寄らない薄暗い部屋があった。

「あーあ、今日も退屈だ…」

その部屋の主である彼女は、けだるそうに呟いた。

「僕を悦ばせてくれる事件はないのかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

ぼさぼさの髪を振り乱し、叫ぶ。けれど、その声は完全防音である部屋の外には響かない。
ただ、窓から流れてきた風で、部屋の扉に張り付けてあった紙がはらりと落ちた。



『メイド探偵事務所』



その紙には、汚い字でそう書かれていた。