「べべべべべつになにも…」


私はひたすら目線を下げてそうつぶやく。


「じゃあなんで目ぇ合わせねーんだよ」


クイ、とあごに指をかけられ上を向かされる。


嫌でも目と目が合わさって、嫌でも私の瞳にこうちゃんの綺麗な顔がうつって、頭の中がこうちゃんでいっぱいになる。


「瑠璃のくせに俺を避けるとか生意気なんだよ」


こうちゃんの口調は、少しイライラしたような、でもどことなく焦りを感じた。


様子がへんなのはこうちゃんのほうだよ!!普段こんなこと絶対してこないのに!!

もしかして…これって作戦成功!?でも、メロメロにさせてるというよりは怒らせてる気がする…、てことは、失敗!?どうすればいいの!?


頭をフル回転させてみるけど、妙案なんて思いつくはずがなくて。


まだ2日目のくせに、これ以上こうちゃんを“引く”なんて私にはできないと思った。