「いい顔してんじゃん」

「絶対思ってないし。せめてそのニヤニヤした顔どうにかしてから言ってよ」

「お前さ、顔良くて良かったな」

「は、喧嘩売ってんのか」

パソコンを操作していた手を止めて椅子ごとこっちに向いた高野は、笑ってるけど笑ってない。


「口わっるー」

「お前に言われたくないな」

「仮にも女性に向かってそういうこと言うかね」

「まあ相手は高野だし」

ドスッと鈍い音がして、二の腕がジーンと痛む。

「いてーな」

「加地くんだってこの前殴った」

「あ?そうだっけ?」

うそうそ、覚えてる。

そういえば白城と会った時に軽く殴ったっけ。いや、でもあれお前が悪いじゃん完全に。

あ、昨日もだっけ。


「ふん、加地くんも顔良くて良かったね」

「お前…」

くそ生意気。

もしこいつが仮に、ほんとに俺のことが好きだったとして、好きな男にこんな態度とるか普通。