一筋縄ではいかない、なんてそんなことはないと思ってた。
俺の気持ちが寄ればその状況は一変すると思ってて、何でか分からないけどそう上手くもいかない感じに戸惑ってんだけど。
｢…は？｣
｢は？って、あたし変なこと言った？｣
｢言った。え、言ったよな。｣
何こいつ感覚ズレすぎ。まじでよく分かんないし俺のこと好きなんじゃねぇのかよ。
いや、自意識過剰とかじゃないと思うんだけどさ、多分。……多分。
｢山田とデートって何｣
｢デートじゃないよ、映画だよ｣
映画ってデートじゃないんですか。
ていうかよ、そもそもお前のこと好きな男に誘われて映画見に行くんだからそれってもう誰がどう見たってデートだろバカ。
｢加地くん眉間にシワ｣
｢は、うるせ｣
｢何よ、何でそんな不機嫌なの？｣
何なのこいつほんとに。
レストランといい今回の映画といい本気で高野のこと狙ってんの丸わかりなのにそれをデートだって気付かないのお前だけだよ鈍感！！
