「あ、やばい。俺もう戻んないと」

「おー、戻れ戻れ」

「ひどいなー、加地くんもサボってないで早く戻りなよ」

「サボってねぇわ休憩だわ」

なんて言葉に山田は笑って、時計を見たあと慌てて戻っていった。

俺もそろそろ戻ろうと思ってたけど、山田に追いついてまた笑われんのも嫌だし、もう少しだけ。


高野と連絡先を交換してから、やっぱり連絡を取る機会もなくて。

それは別にいいけど、交換したことさえ覚えてなかった高野に若干ガッカリしたのは何でだったんだろう。

結構酔っ払ってたし、覚えてないだろうなと思ってはいたものの、いざ「連絡先交換したっけ?」なんて言われるとマジかよ、なんて思ってしまうわけで。

今までがおかしかったんだよな、多分。

親しい内に入るし、何ならその辺の男社員よりも距離は近いんじゃないかって思ってたし。

それが連絡先も知らないなんて絶対そっちの方がおかしいし、仮にも好きな男に連絡先聞かない高野って何なのマジで。

いや、別にいいんだけどさ。